自動車製造物責任相談センターの2019年度活動状況報告の巻頭論文として、論考『「自動運転車と製造物責任」を巡る議論が問いかけるもの』が掲載されました。
その目次は以下の通りであり、ご興味のある方は是非とも同センターにお問合せ下さい。

第1 はじめに
第2 自動運転車に係る製造物責任上の議論
 1 議論1:ソフトウェアのアップデートについての製造物責任
 2 議論2:製造物責任の責任追及主体・方法
 3 議論3:社会への情報提供、及び指示・警告上の欠陥
第3 自動運転車に係る製造物責任上の議論が問いかけるもの
 1 ソフトウェアを「製造物」と考えることの意義
 2 立証の困難に対する取り組みの見直し
 3 引渡し時を基準時とする製造物責任法による被害者救済の限界
 4 指示警告による責任回避の限界
第4 まとめ

コロナ禍で宙に浮いてしまいましたが、自動運転の開発は東京オリンピックを一つの目途として、本年度中の高速道路上での自動運転の実現が目指されています/いました。
自動運転と聞いて人が想像するものは様々であり、少なくとも無人の車が高速道路を走り回る光景が本年度に実現するとは思えませんが、既に実装されている自動追尾システムはレベル3の自動運転と表現してもよいかもしれません。
私も委員として参加している「高度な自動走行・MaaS等の社会実装に向けた研究開発・実証事業:自動走行の民事上の責任及び社会受容性に関する研究」WGには幾多の省庁・関係者が参加しており、自動運転が社会の様々な場面に変革をもたらしうるものであることを実感しています。
製造物責任法も、自動運転自体の複雑性・あるいはソフトウェアの不断なアップデートという性格ゆえに変容を免れないと思われますが、それも大きな変革の中の一場面でしかないのでしょう。
20世紀に生まれた製造物責任法が21世紀にどうなっていくのか、その現場に立ち会えることを幸せに思います。