「医療事故編の前編。とある病院で心臓手術の結果、患者が死亡。だが、遺体の胸に残った奇妙な赤黒い痕から、遺族が不審な思いを抱き、「医療ミスでは?」とマスコミを動かした。調査に乗り出した真奈子(松雪泰子)だったが、事故調査委員会の委員長、弁護士の守康(寺脇康文)と、ことあるごとに衝突。真奈子は病院の隠蔽があるのでは?という疑惑を感じるが証拠は無く大苦戦。手術の再現実験に挑むが・・・?」(番組HPあらすじより)

 

今回の事故調査委員会、病院の依頼により設立された委員会のようです。これは第三者委員会と呼ばれるものであり、通常、これを事故調とは呼びません。名称独占というわけではないですが、ジコチョーと呼称するのは、製品・サービスによって人が死傷した事件を扱う消費者庁安全調査委員会(私もその委員です)、航空事故・鉄道事故・船舶事故を扱う運輸安全委員会、あるいは医療事故調査制度だけであろうかと思います。

 

第三者委員会は、企業・病院などに不祥事が発生した場合、独立した第三者の立場から原因分析・必要に応じて再発防止策提言などを行うものであり、それだけ見ると確かに事故調と似ていると思わないでもないですが、第三者委員会は企業が任意に設立するものである点で根本的に異なります。第三者委員会を作るべきか、人選をどうするかなどは全く決まっておらず、例えば日弁連もガイドラインを出したりしていますが、拘束力はありません。

今回でいれば、委員長の守康弁護士はなにやら病院側とつながりがあるとのこと、それはもはや「独立した第三者」でもなんでもないですが、そもそも第三者委員会自体に規制がないので、今回のような “なんちゃって” 第三者委員会ができてしまってもおかしくはない、というところです。

第三者委員会の内実がなんであれ、それなりの肩書の人が集まって報告をすればそれなりの見てくれになり、それでなんとなく禊が済んだような世論にもなりがちです。あるいは、そんな風潮の中で、 “なんちゃって” 第三者委員会の存在に警鐘を鳴らすのが今回のテーマなのかもしれません。