先日、消費者庁より、訴訟情報を論点別に整理した資料が、「PL法論点別裁判例」として公表されました。

http://www.caa.go.jp/safety/index19.html

 

伊藤も有識者として参加させて頂いたものですが、会議内容は非公表とのことなので何もコメントしません。ただ、伊藤がアメリカに留学する前は、PL法の訴訟情報すら10年前で更新が止まっていた状態であり、そこから見るとだいぶ進んだなぁという印象です。さて、進んだとして、それで十分かどうか。

ここで挙げられた論点と、アメリカの製造物責任法理における着目点には違いがあります。

日本のPL法はアメリカとは違うのだ、というところから始まった20年ですが、日本のPL法と同じような発想はかつてのアメリカにもありました。その発想をもとに更に議論が積み重ねられたのが現在のアメリカの製造物責任法理の主流であり、同法理の発展に深く関わったアメリカの某教授は、日本のPL法制定時に、「日本もいずれ同じ議論の発展を辿るはずである」とコメントしていました。

それから20年以上を経て、未だに議論の隔たりがあるのはどういうことか。真に日本のPL法が独自の進化を遂げたのか、あるいは20年前で議論が止まってしまっているのか、どちらなのでしょうか。(ちなみにアメリカでPLという略称がProduct Liabilityを意味することはなく、少なくとも法理の呼び名について独自の進化を遂げていることは明らかです。)

 

今回の裁判例整理が、そういった議論の一助になることを期待しています。