製品事故によって被害が起きた場合、製造業者(あるいは販売者)に対して、現時点における現時点の被害(医療費・物損など)、慰謝料、将来発生するであろう被害(逸失利益)の補償を求めることになります。そのような製造業者(あるいは販売者)の責任を製造物責任といいます。1995年に施行された製造物責任法が基本的な根拠法となりますが、一般法である民法上の不法行為責任などを根拠とする場合もあります。
製造物責任法では、「欠陥」=「当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていること」がある場合に責任追及が可能となっています。この欠陥の有無や、欠陥と損害の因果関係が、製造物責任を追及する際の大きな争点となります。
この欠陥該当性について、法律上は「当該製造物の特性、その通常予見される使用形態、その製造業者等が当該製造物を引き渡した時期、その他の当該製造物に係る事情を考慮する」とされています。ただ、実務上は、「製造上の欠陥」「設計上の欠陥」「指示警告上の欠陥」にあたるかどうかという視点からの検討、あるいは「通常の用法で使用していたのに被害が生じた」かどうか、という視点からの検討がなされることが通常です。
- 製造上の欠陥 = 製造物が設計・仕様通りに作られなかったことにより安全性を欠く場合の欠陥
- 設計上の欠陥 = 製造物が設計・仕様通りに作られたものの、その設計・仕様自体が安全性を欠いていた場合の欠陥
- 指示警告上の欠陥 = 製品に残存する被害リスクの防止・回避のために適切な指示・警告が与えられなかった場合の欠陥